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最高裁判所第三小法廷 昭和46年(あ)707号 決定

主文

本件上告を棄却する。

当審における未決勾留日数中六〇〇日を本刑に算入する。

理由

被告人本人の上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反の主張であって、適法な上告理由にあたらない。

弁護人西嶋勝彦、同榎本武光連名の上告趣意第一点のうち、憲法三三条、三四条違反をいう点の実質は、単なる法令違反の主張であり、憲法三八条二項違反をいう点は、記録によれば、被告人の捜査官に対する各供述調書の任意性が認められるとした原判決の判断は正当であるから、所論は前提を欠き、同第二点のうち、憲法三一条、三七条違反をいう点の実質は、単なる法令違反、事実誤認の主張であり、判例違反をいう点は、所論引用の判例は事案を異にし本件に適切でなく、その余は、単なる法令違反、事実誤認の主張であって、適法な上告理由にあたらない。

弁護人高野孝治の上告趣意のうち、憲法三一条、七六条違反をいう点の実質は、事実誤認、単なる法令違反の主張であり、判例違反をいう点は、所論引用の各判例はいずれも事案を異にし本件に適切でなく、その余は、事実誤認、単なる法令違反の主張であって、適法な上告理由にあたらない。

弁護人志賀剛の上告趣意のうち、憲法三一条、三七条一項、三八条違反をいう点の実質は、事実誤認、単なる法令違反の主張であり、その余は、事実誤認、単なる法令違反の主張であって、適法な上告理由にあたらない。

弁護人白谷大吉の上告趣意のうち、憲法三七条一項、三一条、七六条三項違反をいう点の実質は、事実誤認、単なる法令違反の主張であり、判例違反をいう点は、判例の具体的摘示を欠き、その余は、事実誤認、単なる法令違反の主張であって、適法な上告理由にあたらない。

弁護人黒木芳男の上告趣意は、事実誤認の主張であって、適法な上告理由にあたらない。

なお、所論にかんがみ、職権で記録を調査したが、被告人が釆信一を殺害し、その死体を遺棄したものと認められるとした原判決の認定は、正当である。

また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって、同法四一四条、三八六条一項三号、刑法二一条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 天野武一 裁判官 関根小郷 裁判官 坂本吉勝 裁判官 江里口清雄 裁判官 高辻正己)

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